PCを林業に生かすブログ

タグ:林業

QGISでいろいろなデータを扱うことが出来るようになりましたので、スマホに転送して現場で持ち歩いてみましょう。

QGISのプロジェクトをスマホで使うのであればQFieldというアプリを使うのが一般的だと思います。プロジェクトの一部または全部をそっくり使えるので見た目にもPCと同じように表示できてとてもいいアプリです。
しかし、今回は地図ロイドというアプリでその方法を紹介します。地図ロイドを使う理由は山旅ロガーGOLDと連携してトラックログを使うことができる点で優れているからです。ただし、表示する美しさはQFieldには敵いません。

スクリーンショット 2022-02-20 094528
このプロジェクトの中から模擬外周というポリゴンと森林作業道練習というラインの2つのレイヤをスマホに移していきます。

その手順は①GeoJSONファイルに変換 ②転送(Googleドライブ) ③地図ロイドに取り込む となります。②の転送については色々な方法がありますが今回はGoogleドライブを使います。

①GeoJSONファイルに変換 ②転送(Googleドライブ)
 地図ロイドの場合は図形を表示する形式はGeoJSONになりますので、シェープファイルから変換しなければなりません。②転送の手順も保存先をGoogleドライブにして同時に完了しましょう。
2022-02-20
レイヤを右クリックしてエクスポート新しいファイル名で地物を保存と進みます。


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図のように
 形式GeoJSON
 ファイル名
でGoogleドライブのフォルダを選んで適当にファイル名を付けます。
 座標参照系(CRS)EPSG4326 WGS84を指定します。

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この様なメッセージが出てきたらそのままOKで大丈夫(だと思います)。

同じように森林作業道練習のレイヤもGeoJSONに変換してGoogleドライブに収めましょう。

QGIS上には作成したGeoJSONのレイヤも追加されますが必要はありませんので下の図のように削除してしまいます。

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③地図ロイドに取り込む
 地図ロイドへ取り込みます。スマホに地図ロイドGoogleドライブをインストールします。


Screenshot_20220220-095317

スマホからGoogleドライブを開いて該当のフォルダーを開くと保存したGeoJSONファイルがあるのでタップか右端の・・・で出てくるメニューからアプリで開くを選択します。
アプリは当然地図ロイドを指定します。私の場合は他にGeoJSONを使うアプリが無いので常にこのアプリを使う設定にしています。
Screenshot_20220220-095347
これは地図ロイドが確認のメッセージを出しているのでOKを選択です。

Screenshot_20220220-095356
データはこれで取り込みは出来ました。
同じように他の1件のデータを登録します。

地図ロイドを起動してMENUを開きます。
Screenshot_20220220-095422

Screenshot_20220220-095435
作図GeoJSONを選択

Screenshot_20220220-095613
対象のファイル名をタップするとが付き地図に反映されます。を外すと非表示になります。

Screenshot_20220220-095634
右の・・・でメニューを開いてジャンプをタップすると地物が表示されます。

Screenshot_20220220-095649

もう一度GeoJSONのメニューまで戻ってスタイルの設定をします。
Screenshot_20220220-095742
練習作業道の方は線の色にしてラベルを表示 使うプロパティ名路線名を選択しました。

Screenshot_20220220-095823
練習外周塗りつぶし色透明度25に指定。


Screenshot_20220220-100426

この様に表示されました、パラボラアンテナのマークで現在地に移動します。
地図ロイドの詳しい使い方についてはいずれ紹介したいと思います。

前回紹介した林小班図と森林簿の結合で膨大なデータをQGISに取り込むことが出来ました。
このデータをどう利用していくのか?いくつか例を挙げて聞きたいと思います。

スクリーンショット 2022-02-04 164516
この図は小班を林齢ごとに色分けして林班と小班をラベルに設定したた物です。
やり方は「QGIS見た目を変えてみましょう。」で紹介していますので参考にしてください。
設定したところは次の通りです。
スクリーンショット 2022-02-04 161342
スクリーンショット 2022-02-04 161415
林齢が高いほど濃い緑で表示されています。

それではデータを絞り込んでみましょう。
森林簿上で樹種スギ林齢100年を超える小班のリストを抽出します。

森林簿の属性テーブルを開きます。
スクリーンショット 2022-02-04 161550
左下の選択(コンボックス)から詳細フィルタ(式)を選択します。

スクリーンショット 2022-02-04 162018

式を入力します。
QGISでは条件を指定する場合にはダイヤログではなく式を記述して抽出をします。この方法は慣れるまでは少し面倒ですが汎用性が非常に高い方法です。一見してプログラミングの様で敷居が高いように感じますがやってみるとそれほど難しくはありません。ラベルの書式とも共通するところが多いので是非習得して頂きたいです。
式の書き方は「QGIS 式」などで検索すると沢山出てきます。

今回の式を簡単に説明しておきましょう。
”EX_樹種" → 結合した森林簿フィールド名(樹種)の事です。
 ※"(ダブルクォーテーション)でくくってフィールド名を表現しています。

= 'スギ' → EX_樹種フィールドのなかでスギと一致するもの。
 ※=は値が一致する、'(シングルクオーテーション)でくくったものは値になります。

and → かつの事です。(AかつBのかつ)
 ※この場合EX_樹種の値がスギでありさらにand以降の式に一致するもの。

"EX_林齢" > 100 → EX_林齢100を超える。
 ※このとき100は含みません100以上を指定したいときは>=と記述します。

スクリーンショット 2022-02-04 162518
図のように目的のデータを絞り込めました。

ここから地物を指定するためには行番号をクリックするとで地物を選択する事が出来ます(後でその方法を説明します)。また、CTRLキーやSHIFTキーを使って複数の地物を選択することも出来ます。

今度は絞り込みと同時に地物を選択してみましょう。

スクリーンショット 2022-02-04 163007
式による地物の選択アイコンから同じようにを設定します。
今回は100年以上となるように設定しました。

スクリーンショット 2022-02-04 163117
リストが抽出されるとともに地物も選択され黄色で表示されました。

スクリーンショット 2022-02-04 163251
全レイヤの選択を解除アイコンで選択した地物を解除します。

次によくあるシチュエーションで林班と小班で場所を検索してみましょう。
スクリーンショット 2022-02-04 163545
64林班の小班33を検索します。

スクリーンショット 2022-02-04 163659
抽出されました。

スクリーンショット 2022-02-04 163756
ここで行番号をクリックすると地物の選択が出来ます。

しかし、普通は画面上にありませんので次の方法で一気に該当の地物を呼び出します。
スクリーンショット 2022-02-04 163858
右クリック地物にズーム

スクリーンショット 2022-02-04 164040

下の欄に計算式が残っていますね、ここを書き換えるだけで別の場所を検索することも出来ます。

今回は説明が難しいので後回しにしてきた座標参照系(CRS)についてです。

ここで事細かく説明できる力は私にはありません。ですので先ずは分かりやすく説明されているサイトを見つけましたのでそちらを見て頂きたいと思います。

  朝日航洋株式会社さんのサイトより
  第1回 座標参照系(CRS)とは?
  第2回 座標参照系(CRS)とは? - QGIS での CRS の選び方 -
  第3回 座標参照系(CRS)とは? - プロジェクトの CRS を地理座標系にすると -

以上・・・

だけではちょっと手抜きなので、私なりにちょっとだけ説明します。

ずいぶん昔の話ですが私が青函トンネル記念館を訪れたときに、青函トンネルの測量には地球の丸さまで考慮されていると知りました。53.85㎞のトンネルなのに地球の丸さが影響するなんて地球って意外と小さいものだなと思いました。
その地球の丸さが地図の表現にも大きな影響を与えてしまいます。
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日本の位置はココですよね、真横から見たら随分斜めになってしまいます。
昔学校で習ったメルカトル法みたいな表現では極に近いほど誤差が大きくなってしまいます。QGISでは当然地球全体を表現することは可能ですが、こんなに斜めから見た図では地図を視覚的に捉えるにはよろしくないですよね。
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この様に真上から見た図の方が狭い範囲であれば正確に表現しやすくなります。
日本では日本全体と19に分割した投影座標系というのがあります。
利用する地域によって使い分けることによってより精度の高い地図を表示する事ができると言うわけです。
石川県の場合は7が該当になります。林業ではそれほど広域の地図は必要ないので
JGD2011 / Japan Plane Recatangular CS VIIを利用するのが適当だと思います。
他にJGD2000がありますがJGD2000とJGD2011の違いは震災前と後の違いです。
東北地方太平洋沖地震は地図を塗り替えるほどの大地震だったんですね。
座標参照系を選択する上で注意が必要なのは、地理座標系と投影座標系の二種類があるのでこれを間違うと表示される場所がズレてしまいます。
またwgs84という座標参照系もよく出てきます。これはGarminのように地球上のどこで利用するか分からないツールのデータなどに使われています。

説明の順番が良くないのですが、QGISで座標参照系を選択するのはプロジェクトの座標参照系とレイヤの座標参照系です。プロジェクトの座標系はプロジェクトを作るときに設定するか画面の右下で切り替えることも出来ます。
2022-01-16 (3)_LI
レイヤの座標参照系は色々なデータを取り込むわけですからインポートする場合などはそれぞれ違った座標参照系を使っていますよね。これらは全て変換しなければ使えないのでしょうか?答えはそのまま取り込んでも大丈夫です。QGISが変換してくれるか変換しても良いか聞いてくれますので安心して使ってください。

😢今回のブログ編集ではなぜか英子文字が使えませんでした。

QGISにスキャンしたデータ(JPEG)を取り込む方法の説明に入る前にした処理をしておきます。
具体的にはJPEGの画像の白い部分を透明化してPNGファイルとして保存します。
※この処理は必須ではありませんので、面倒な場合や必要ないと思われる場合は省略してください。

下地を透明化するメリットは、他のマップと重ね合わせたときに透過できるので使い勝手がよくなるという点です。

ここではGIMPというソフトウェアを利用して説明します。Photoshopなどほかのソフトウェアでも可能ですが、私は無料で使えるGIMPしか持っていませんので、これで進めていきます。

GIMPは次のサイトでダウンロードできます。実行するとインストール画面になりますが最初に言語を選択できますので、そこで日本語を選択すると日本語化する必要はありませんので安心してください。

2022-01-01 (5)_LI
(画像をクリックでサイトが開きます)

GIMPを起動したら、対象の画像ファイルを画面にドラッグアンドドロップでも開くことができます。

2021-12-31 (16)
画像を開いたところです。JPEGファイルには透明部分が無いので先に透明を使えるようにします。
レイヤー透明部分アルファチェンネルの追加と進んでください。
結果は何も変わりませんが、これで画面上に透明部分を作ることが出来るようになりました。


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次は画像の白い部分を透明化する手順です。
レイヤー色を透明に と進んでください。

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この画面では透明化する色などを指定します。Colorのところが白になっていればそのままOKで行けます。タイル状に見えるところは透明になったという事です。

白い部分は透明になりましたが、このままでは等高線などほぼ黒い画像になってしまいます。空中写真などに重ねたときに見えにくいので他の色に変更します。つまり黒い部分をほかの色に変化させます。

カラーマッピング色交換 と進みます。

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図のようにFrom Colorを黒、To Colorをお好みの色(ここではオレンジ)に設定します。
Red Threshold , Green Threshold , Blue Threshold というのはFrom Colorに対してどの位誤差を認めるか?というような感じでしょうか?しきい値というものらしいです。数値が0であれば完全に指定色と同じでなければ色の交換は実行されません、数値を上げていくと徐々に指定色以外の色も反応してくれるようになります。今回は0.300を指定しました。メインの画面を見ながら丁度いいところを探ってみてください。OKをクリックしたら画像は完成です。

完成した画像を保存しましょう。ここで注意することはJPEGでは透明を表現できないのでPNGなどの形式で保存する必要があります。また、保存名前を付けて保存はGIMPの形式で保存する事になるのでエクスポートしなければいけません
ファイル名前を付けてエクスポートと進みます。


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ファイル名に拡張子をつけることでファイル形式を指定する事になります。ここではスキャン図面.pngというファイル名で保存しています。

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この辺は詳しくないのでそのままエクスポートをクリックで保存します。

この一連の作業でQGISに取り込んだ時に使いやすい画像となったと思います。今ではあまり使わなくなったのですがGoogleEarthに張り付ける場合もこの処理をしておくと使いやすくなります。



従来の図面といえば林業の場合は紙ベースの物でしたよね。また、メールなどでやり取りする場合にはJPEGなどの画像データやPDFを使うこともあると思います。
これらを取り込んでしまえば、QGIS上で面積や距離を割り出したり線をなぞって地物を作ることも容易くなります。今回はその方法について説明していきます。

折角なのでここでQGIS上で使える地図データについて説明します。これには大きく分けてベクタラスタという2種類のデータに分けることができますQGISの画面にもベクタ(O) ラスタ(R)とありますよね。

【ベクタデータ】
 今まで作ってきたポリゴンデータベクタデータの一つです。そのほかに線や点などがあり、エクセルで描く図形のようなものですね。保存するときのファイル形式は代表的なものとしてはシェープファイル(.shp .shx .dbf)だと思います。私はQGIS上で地物を取り扱うときには基本シェープファイルを使います。その他にGoogleEarthなどとやり取りしたい場合はKML、地図ロイドなどの場合はGeoJSONを、GARMINなどではGPX形式を使います。他にもたくさんのファイル形式に対応しているのでその都度使い分けると良いですよね。
 ・長所
   拡大縮小しても綺麗に描画される。変形や移動が簡単。属性テーブルが使える。
 ・短所
   等高線などデータ量が多くなると描画処理に時間がかかる。
2022-01-01 (3)
 (ベクタの等高線。拡大しても線の太さは変わらないが、
   一本一本のラインを描画するので処理に時間がかかる)



【ラスタデータ】
 図形ではなく画像データを基にしたデータです。JPEG TIFF PNGなどを利用しまず。こっちはエクセルでいうと画像ですよね。当然これに位置情報が必要になってくるのでワールドファイルというテキストファイルをセットにして利用します。またGeoTIFFのように一つのファイルに位置情報が埋め込まれている物もあります。
画像の種類は地図画像や空中写真のほか位置ごとの標高を色で表したDEMなどがありDEMは標高を視覚的に捉えるほか3D表示させる場合に標高データとして利用したりできます。
 ・長所
   画像データが基になるので処理速度はほぼ一定。ポイントごとに標高などのデータを持たせることができる。
 ・短所
   拡大すると画像の粗さが出てくる。属性テーブルは使えなくデータは1ドット1データだけ。
2022-01-01
(ドローンで撮影した写真から作ったオルソ画像、GeoTIFFなので位置情報が付いている)

2022-01-01 (1)
(DEMの画像、グレースケールの濃淡で高度を表している)

2022-01-01 (2)
(DEMの標高データを基にして作った3Dビュー)

 ベクタとラスタにはそれぞれ特徴があるので上手に使い分けるとよいでしょう。ラスタデータをなぞって地物を作ったり、ベクタデータを高速に表示できるようにラスタに変換して使うこともありです。

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